絵本☆ラジオ第3回「村上康成絵本に溺れたい」報告

投稿日:2025年03月04日(火)

2025年3月1日土曜日に実施しました。ここでの告知をのがしつつも、ブックハウスカフェでのご本人を迎えてのトークライブは満員御礼でありがとうございました。あろうことかの事後報告です。逆に、ここには来れなかった方のために、かいつまんでの当日の様子をちょこっと。

かねてより村上康成さんの絵本溺愛研究家の藤本は、ご本人に聞きたいことだらけだったのです。それがかなって嬉しい限りです。

この日の話題として用意したものを聞いていくうちに見えてきました。村上さんがどういう気持ちで絵本を作っているのか。全貌とまでは言いませんが、かなりな核心にせまれたかなと思いました。しかし、2時間ではやっぱり足りませんでしたね。そんなこの日の話題のいくつかはこんな感じです。「かいじゅうのうろこ」や「ピンク・シリーズ」に見る映画表現的場面づくり。「イルカの風」の絵本の中に風が吹くシズル感。「青いヤドカリ」や「きぜつライオン」に見るほぼ何も描いてない画面いっぱいに感じる空気感。描かない村上康成と描き込む荒井良二のお二人に遭遇した話。中川ひろたかさんに「子どもの絵本」の世界に引き込まれて。

後半は藤本との絵本「おおきくなったら きみはなんになる?」の画面作りの話。写実的な現実場面を描くより、主人公の心のリアルを描くということ。左右のページの見せ方の工夫。扉と後ろ扉のシンクロする安定感。寝っ転がった人物だから見ることのできるタンポポの裏側の絵を描くということ。琵琶湖出張のホテルで突然少年が現れ絵本が見えたという発想の瞬間の話。あー面白かった。

ライブの最後にご本人読み聞かせした村上さんの新刊「わく」(作は塩野米松さん)に見る画面作りが、それまで取り上げた村上絵本のエッセンスをきちんと盛り込んであったのがこれまた面白い。そしてこの辺りで村上さんがボソッと言いました。「沸き立たせたいんだよね」。でました。そこだったんです。「読者の気持ちを、湧き立たせたい」そのための村上さんの絵なんですね。ぼくはこの日初めて新作「わく」をみたので、いまだじっくりしみ込むのを待っていますが。確かにこの一冊だけでも「心が動かされます」。こうなるとやはりあなたご自身の目で、心でみてほしい。あの何も描いてない文字だけの場面のセンスを。

村上さんの絵本たちをみていると、絵本の無限の可能性を感じます。村上さんの背中を追いながら、まだまだ、自分ながらもできることがあるんじゃないかと思わせてくれます。だから絵本は面白い。これからも絵本を読んで、味わって、楽しんでいきたい。そして、ぼくも描いていきたいと思いました。ありがとうございます。またこの機会を作ってくれたサンプルパパやスタッフの皆さま、来てくれた皆さま、ブックハウスカフェの皆さま。本当にありがとうございます。